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【失われかけた音楽】Wesslén / Markus Svensson【北欧CD】

¥3,050 税込

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Markus Svenssonはニッケルハルパの上手い人を集めて構成されたNyckelharporkesternのアルバム全てに参加していることや、フォークミュージックのサマースクールでは講師を務めていることから、技術のみならず人柄まで評価の高い人物。
そして2019年に発売されたこのアルバムはマルクス初のソロアルバムなのですが、コンセプトがやや複雑なためCDの裏に書かれていたスウェーデン語の文章を大ざっぱに訳してこちらに記載します。

――
”このアルバムはMatts Wesslénによって記録された音楽をコントラバスハルパ、シルベルバスハルパで録音したものです。
Matts Wesslénは1812-1878の間、Upplandの教会のオルガン奏者そして鐘を鳴らす仕事をして暮らしていました。その傍らで彼は民族音楽にも強く惹かれていて、シルベルバスハルパ(古い時代のニッケルハルパ)の演奏家でもありました。

19世紀の有名なニッケルハルパ奏者であるByss-CalleはWesslénの暮らすÖsterlövsta教区から約25キロ北のÄlvkarleby地方で活躍していました。Wesslénは民族音楽の記録において多大な貢献をした人物で、その記録のうちのいくつかはByss-Calleにちなむものです。

1869年に、記録された資料は出版のためGävleへ送られますが、不幸にも街全体が被害に遭うほどの大火事によって原典は焼失してしまいます。
Wesslénは記憶から新しい記録を作り、これらは1879年にA.G.Rosenberg版の「420SvenskaDanspolskor」として出版されました。
Rosenbergは、当時一般的だったピアノのために曲をアレンジしてます。RosenbergがWesslénのオリジナルの記録にどれほど忠実であるかは定かではありません。

Wesslénの記録した94曲は小冊子にまとめられています。
記録された曲のほとんどはUppland地方のものですがGästrikland, Dalana, Ångermanland地方のものもあります。
Byss-Calleによるとされる曲を除いて、どの演奏家にちなむものなのかの記述はなく、曲名もないのでこのCDでは○○ efter Wesslénと呼んでいます。
メロディに名前がないのはこの時代にはよくあるケースで、A.G.Rosenberg版に割り振られている番号も同時に記載していますが、こう言った音楽は当時の典型的なスタイルの音楽であり、スウェーデンの様々な地域のフィドラーのための本から同じメロディが見つかっています。”
――

といった来歴のあるMatts Wesslénが残した曲を中心に、古い時代のニッケルハルパを使って録音したCDです。これは資料的価値がとても高いと言えるでしょう。
ニッケルハルパの種類についてはこちらにまとめてあります
https://www.resono-sound.com/nyckelharpatypology/

そもそも消えかけた音楽を残した人がいて、それでもCDに収める人は少なく、マルクスの手により再び生き返った、そんなようにすら思います。
余談ですがJ.S.Bachの曲はメンデルスゾーンが再発見しなければずっと埋もれたままになっていたのではないか、なんて話もあります。
フォークミュージックを楽譜に起こすことは未だに賛否両論の分かれるシビアな分野ではあります。しかし、それでも、消えるよりは残した方が、と個人的には思っています。

曲はその時代の曲なので、ドローン音(音程を動かさず鳴らし続ける音)が活躍する、土着の趣き漂う曲が中心です。
ただ、マルクスはとても綺麗な音で演奏する奏者ですので、こういったコンセプトの古い音楽を集めたCDの中ではかなり聴きやすい部類になります。
いや、本当に綺麗だな…と聞き返す度に思います。
古楽っぽい方向性では無いです。
丁寧な演奏で、およそ200年前に愛されていた音楽と出会えるなんて、ちょっと夢物語を感じます。

長くなりましたがモダンニッケルハルパには無い魅力を味わうのに最適なCDです。ぜひ。

伝統度  ★★★★★
民俗音楽感★★★★☆
曲の珍しさ★★★★★
演奏技術 ★★★★★
聴きやすさ★★★☆☆
全17曲 約45分

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