2020/05/02 17:49

レソノサウンドでは北欧音楽のCDを多く取り扱っております。
しかし、数が多すぎてどれを選んだら良いかわからない…そんな方も多いのではないでしょうか。
そこで、特定の観点ごとにおすすめできる、初めての聴く方向けのCDをご紹介したいと思います!


今回のテーマ 楽器編成
編成(人数)という観点から見ると、ニッケルハルパやフィドルのソロからデュオ、はたまた5人程度のバンド、10人程度の大合奏まで様々な形態が存在します。
ここではその人数という観点で1枚ずつ紹介していこうと思います。


・ソロ

NITTONBUNDA / Anders Löfberg

Andersは本当に多彩な楽器を演奏します。
このアルバムもゲストミュージシャンはいるので全てがソロというわけではありませんが、
ハーディングフェーレ(ノルウェーの民族楽器)
ハーディングダモーレ(共鳴弦つきヴァイオリン)
そしてチェロを使いこなして演奏されたオリジナルから伝統曲までの幅広いラインナップは絶品です。

Niklas Roswall / Niklas Roswall

ニッケルハルパの音色を楽しみたいならこちら。
めちゃくちゃ上手く美しい音を出すNiklasのアルバムで、こちらもまたゲストミュージシャンが参戦している形にはなります(完全なソロアルバムって多くないんですよ…)
美しい音色と、それを活かしきった選曲。スウェーデン伝統音楽の爽やかなエリアを満喫できるかなと思います。

・デュオ
北欧音楽のデュオは本当に驚くくらい完成されています。
何でしょう、他のジャンルだと2パートって物足りなく感じることも多いのですが、フィドル2本やニッケルハルパ2本、ニッケルハルパとギター…どれをとっても高い密度と飽和する残響、絡み合う旋律に満足感を覚え、2人いればもう他にいらない、と思わせてくれます。

Pärlor / Erika&Cecilia

フィドルとニッケルハルパのデュオです。奏者二人が知己の仲ということもあり、息の合い方が尋常じゃありません。
ジャケットはファンシーですが曲目やプレイスタイルともにかっこいい路線です。おすすめ。

dag och natt / Josefina Paulson

こちらはニッケルハルパとギターのデュオアルバム。全曲オリジナルなので非常に癒やされるような良いCDです。
特筆すべきはギターの弾き方でしょうか。バッキングをザクザク刻むのではなく、和音の鳴らせる旋律楽器のように立ち回る彼のプレイスタイルはギターへのイメージが大きく変わるきっかけになるかもしれません。

・トリオ
バランスが取りやすい編成なのかなと思います。
旋律楽器3つでポリフォニックに響かせることも、メロディ+ハモり+ギターのようなバンドっぽい響きにもできる可能性のある編成です

spelglädje / Ljud o Lir

ニッケルハルパ2本とハープによるトリオLjud o Lirのアルバム。
トリオくらいからいわゆるバンド名が付くのも面白いですね。
こちらは奏者二人が日本人なのですが、スウェーデンにハープ奏者は非常に少ないと聞きます。
日本という異国の地だからこそ生まれた「北欧音楽」なのではないでしょうか。
曲は伝統曲中心ですが聴き心地良く、爽やかだったり癒やされたりうきうきしたり、そんな曲が詰まったCDです。北欧音楽って良いなあ、とキャッチーに思えるアルバムかと。

Debut / TRIO TÖRN

ニッケルハルパ、フィドル、チェロのアンサンブル TRIO TÖRNの1stアルバム。
全編通してオリジナルなのですが、チェロがいることによる重厚感、そして全員擦弦楽器であるのでときに弦楽合奏のように響く計算されたハーモニー。
とにかくめちゃくちゃかっこいいですし、上手いです。
みんな若いのでそれぞれのこれからの活躍が楽しみです。

・カルテット
これは全然フォークと関係ない話なのですが、例えば人が4人集まって音楽やろうとしたら全員別の楽器を持つイメージがありませんか?「お前ベースやれよ」なんて言われてベースを始める人がいたりなんかして。
そんな話もあり、楽器の種類の多さはCDの豪華さや充実度に直結すると思ってたのですが、北欧フォークの「4人いて全員フィドル」みたいなCDを聴くとその充実度に価値観が覆されます。

Slatta 2006 / Daniel Pettersson他

コントラバスハルパ、ヴィオラダモーレ、フィドル、マンドーラの4人組のCD。
楽器の詳細はリンク先をクリック!
伝統曲を中心とした曲目を、爽やかだったりポップに聴かせるアレンジをしているのでかしこまらずに聴けるおすすめのCDです。とはいえ全員伝統曲を伝統曲らしく弾かせても一目置かれるプレイヤーですので、損なわれることのない芯のようなものは確かに感じられます。
楽しいです、このCDは。

On The Fly / Spelstina

フィドル3人とニッケルハルパ1人のアンサンブル。
1700年代末期、まだ女性の演奏家が珍しかった頃に名を残す音楽家、通称 Spelstina (Anna Cajsa Norman)に敬意を表し、女性の演奏家4名が集まって録音したアルバムで、同じ音域の楽器が集まってこれだけ満足感のある演奏になるのか…と感嘆させられる1枚です。
演奏技術、アレンジ、選曲どれも良いです。

・クインテット
5人にもなるとギターやアコーディオンといった和音を鳴らせる楽器が複数種類入ってくるので音の厚みがグッと高まります。

MASSIVET / MASSIVET

ニッケルハルパ、ヴィオラ、アコーディオン、ギター、パーカッションと、いよいよバンドらしくなってきましたね(笑)
このアルバム、めっちゃかっこいいです。有名なスウェーデンバンドでVäsenというバンドがいますが、彼らを好きな人はこのCDも気に入っていただけるのではないかと思います。
オリジナルが多めのラインナップですが、ここにいる演奏家たちも伝統的な素養を身につけた人々なので、やはり根底に流れるスウェーデン音楽は感じられることでしょう。
このアルバムに限った話ではないですが、人数の多いCDはブックレットからそれぞれの奏者を掘り下げていくだけでより広い世界を見ることができるという点でもおすすめです。

それ以上
Spelmanslag(スペルマンスラーグ)と呼ばれる演奏家の集まりのCDが多くなってきます。
そういうCDではその土地土地の演奏家がその土地の曲を弾くのでいわば模範演奏のような感じになります。
それだけ伝統性が高いので逆に飽きやすかったりする側面もあるかもしれませんが、非常に楽しそうな雰囲気が伝わってきます。

Puls / Stockholms Spelmanslag

そんなCDの中でもストックホルムのそれは、都会が故に様々な地域の音楽が混ざり合い、初心者の方でも楽しみやすいCDになっています。

ここまでお読みくださりありがとうございました!
今回は編成という点からおすすめのCDを紹介しましたが、次回は別の視点から紹介していきたいと思いますのでぜひそちらもご覧ください♪